山のチーズと楽しむジュラのワイン


フランスの東部、スイスとの国境近くに、ジュラ山脈はあります。全長300km程度、高いところで標高1700mほどのこの山脈は、そこまで険しくはなく傾斜は緩やかで、エピセアの林に覆われた尾根と緑の牧草地が広がっています。このおだやかな山々から個性的なチーズが生まれます。日本でもとても馴染みのあるコンテも、ジュラが故郷です。他に、近年人気のモン・ドールや、モルビエ、ブルー・デ・ジェックスなどのチーズがあります。
一方、ジュラはワインの産地でもあります。山岳気候に近い大陸性気候で、降雨量は多めです。土壌は主に石灰岩や片岩が混ざった灰色泥灰岩 (マール)。

このフランス最小のワイン産地から、スパークリング、白、赤に加え、産膜酵母で酸化熟成させたヴァン・ジョーヌや陰干しブドウがから造られるヴァン・ド・パイユなどこの地方独特のワイン生まれます。アルボワは、その中でも最も主要な産地です。
山のチーズと山のワイン、相性はもちろん最高!おすすめのペアリングでご紹介していますが、これ以外の組み合わせももちろんOK。ぜひいろいろチャレンジしてみてください。
(※チーズの写真はイメージです。)
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Comté & Vin Jaune
コンテ
コンテは、ジュラ山脈一帯で1000年以上も前から作り続けられているフランスを代表する熟成ハードチーズ。作られる季節、地域、工房などにより、風味の異なったチーズができると言われています。ジュラ山地の風土の多様性により、たくさんある工房の所在地には生育している植物など独自のテロワールがあるため、原料の牛乳の産地などにも細かく規定があるそうです。テロワールはワインだけではないですね!
熟成期間によって味わいは変化し、熟成に従い、クリーミーな味わいから、ハーブやドライフルーツ、花、そしてヘーゼルナッツや栗、コーヒーなど複雑な風味へ変化し、深いコクと繊細な甘みが感じられるようになります。ワインは、若いうちは、アルボワの辛口白ワインや軽めの赤ワイン、熟成したものは酸化熟成のニュアンスのあるものやヴァン・ジョーヌがおすすめです。
原料乳:牛乳 タイプ:ハード
フリュイティエール・ヴィニコル・ダルボワ アルボワ ヴァン・ジョーヌ 2017
ジュラを代表するワイン。ジュラの特徴的な品種サヴァニャンから造られ、産膜酵母の下で少なくとも6年と3カ月間熟成させます。色調は黄金色で、フレッシュなクルミ、クミン、サフランのようなスパイスのアロマ。力強く複雑なアロマが永続的に続くかのように口中に留まります。クラヴランと呼ばれる容量620mlのボトルに詰められます。熟成したコンテとの相性は最高!!複雑さのハーモニーが満喫できます。
品種:サヴァニャン タイプ:白/辛口 価格:620ML 9,900円(税込) -
Morbier & Savagnin
モルビエ
アイヴォリー色のむっちりとした生地に、オレンジ色の外皮、断面の中心には黒いラインがあるモルビエ。歴史的にモルビエとコンテは切っても切れない関係!昔コンテを作る際余ったカードは、虫よけのため鍋の煤を表面にまぶして保存し、翌日その上に再び残りのカードを足して一つのチーズを作ったと言われています。今では黒いラインは煤ではなく植物性の炭を使い、装飾として入れられています。
むっちりとした食感に、軽い甘み。ミルクのコクとナッツのニュアンスにやさしい果実味が感じられます。少しシャリっとする外皮のコントラストも乙。ワインは樽感や酵母感のある白やスパイスのニュアンスのある白がおすすめ。フルーティーな赤ワインでも。
原料乳:牛乳 タイプ:セミハード
フリュイティエール・ヴィニコル・ダルボワ アルボワ サヴァニャン 2019
このサヴァニャンは、この地方の伝統に則り、ウイヤージュ(補酒)をせず産膜酵母とともに、ヴァン・ジョーヌの規定の熟成期間の半分である約3年間熟成させています。ヴァニラ、軽くローストしたアーモンドの力強いアロマで、ヴァン・ジョーヌによく似たニュアンスを持っています。ジュラ地方特有のフレッシュなナッツとスパイスの複雑なトーンに加え、軽やかさと繊細さもあります。ワインの持つ複雑さは、モルビエのナッツのニュアンスや外皮、木炭のスモーキーさとぴったりで、ヴァン・ジョーヌほど強くない酒質はミルキーな生地ともなじみます。
品種:サヴァニャン タイプ:白/辛口 価格:750ML 5,500円(税込) -
Bleu de Gex & Trousseau
ブルー・ド・ジェックス
高地(ジュラ)のブルーとも呼ばれる、生産量の少ない穏やかな風味のブルーチーズ。13世紀頃修道院から伝わったと言われています。1530年頃この地の支配者であった神聖ローマ皇帝のカール5世のお気に入りだったとか。
表皮は薄く乾いていて、ブルーチーズとしてはしっかりとした生地で、セミハードタイプを思わせるような弾力があります。マーブル状に広がる青カビは刺激や塩味が控えめでやさしい味わい。ミルクとほのかなナッツのような風味、後味に心地よいわずかな苦味があります。やさしい赤ワインや甘口ワインとともに。
原料乳:牛乳 タイプ:青カビ
フリュイティエール・ヴィニコル・ダルボワ アルボワ トゥルソー 2019
ジュラの土着品種であるトゥルソーから造られる、複雑なアロマと程よい力強さを持ったワインです。しっかりとしたストラクチャーがありますが、タンニンはシルクのように繊細です。スパイス、チェリー、スーボワなどと、ほのかな木のニュアンスも感じられる複雑なアロマがあり、トゥルソーの特徴を表現しています。フルボディながら力強すぎず、さまざまなアロマを持つトゥルソーは、やさしめの味わいの山の青カビチーズと好相性。
品種:トゥルソー タイプ:赤/フルボディ 価格:750ML 4,400円(税込) -
Mont d'Or & Chardonnay
モン・ドール
季節限定のクリーミーなウォッシュタイプチーズチーズ。その特別感から、今では日本でも大人気です。フランスとスイスの国境付近にある「モン・ドール(黄金の山)」という山が名前の由来。多くの山のチーズがそうであるように、モン・ドールの誕生もコンテの歴史と結びついています。乳量が減少する冬には大型のコンテを作るのが難しく、農家はより小型で短期間熟成のチーズを考案したという話。毎年8月15日~3月15日の短い期間のみ製造され、販売期間も9月10日~5月10日までと限定されています。
やわらかくて濃厚なミルク感に加え、ナッティなコクとほのかなウッディなフレーバーが特徴。モン・ドールは、エピセアの樹皮で巻いてエピセアの棚の上で熟成されます。これにより、ウッディな風味を備えます。やわらかいため、出荷するときはエピセアの丸い木箱に入れます。ワインは、シャープな酸味とフレッシュさがあるジュラのシャルドネがおすすめ。赤ワインなら、若めでフルーティなもので、チーズのウッディなフレーバーと合わせるのがおすすめです。
原料乳:牛乳 タイプ:ウォッシュ
フリュイティエール・ヴィニコル・ダルボワ アルボワ ブラン ベタニー 2018
ジュラに特徴的な品種サヴァニャンを、3年間産膜酵母の下で熟成、質の高いシャルドネのワインとブレンドして造られます。複雑さとフレッシュさを併せ持つワインです。ヴァン・ジョーヌによく似たナッツやスパイスの複雑なトーンとともに、フレッシュさや、ヘーゼルナッツ、レモングラス、サンザシのニュアンスを持つバランスのとれたワインです。後味はしっかりとした酸が感じられ、長い余韻が続きます。チーズのクリーミーさと透明感のあるシャルドネの味わい、そしてエピセアの木の香りやナッティさと複雑な酸化熟成のニュアンスがベストマッチ。
品種:シャルドネ 60%、サヴァニャン 40% タイプ:白/辛口 価格:750ML 4,950円(税込)