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レア・シャンパーニュ ラ・グランド・ヴェルティカル

レア・シャンパーニュ 
ラ・グランド・ヴェルティカル 
「時を巡る旅」

フランス・パリ在住のライター・エッセイスト 吉田 恵理子氏によるレポート


レア・シャンパーニュ 
ラ・グランド・ヴェルティカル 
「時を巡る旅」


歴史を深く知ることで、現在を見つめ、そして未来への希望を抱ける。2026年4月27日フランス・ランスで行われた、レア・シャンパーニュ試飲会「ラ・グランド・ヴェルティカル」は、その真理に触れる、またとない機会となった。

ランスのノートルダム大聖堂からほど近くにある、旧アイゼンハワー邸。いまも豪奢な時代の面影をのこす会場に、オーストラリア、フィンランドなど、世界各地から著名なワインジャーナリストたちが招かれた。「ラ・グランド・ヴェルティカル」は、レア・シャンパーニュのすべてのヴィンテージが提供される、非常に特別な試飲会だ。1985年に初リリースされたレア1976から、最新のレア 2015“プリマ・ヴェラ”(26年秋以降フランスで発売予定)まで、じつに16ヴィンテージ。参加者は、数十年にわたるレアの歴史を、そしてそこに生き続けるサヴォワール・フェール(メゾンが培ってきた職人技と経験)を実感できた。それは、まさに「時を巡る旅」である。

<シャンパーニュのカルト>
1976年から2015年までに生産されたすべてのレア・シャンパーニュのヴィンテージが一堂に会した。
ヴィンテージは以下の通り:レア・ミレジム 1976、レア 1979、レア 1985、レア 1988、レア 1990、ル・スクレ 1997、レア 1998、レア 1999、レア 2002、 レア 2006、レア 2007、レア 2008、レア 2012、レア 2013、レア ロゼ 2014、レア 2015。

レア・シャンパーニュのディレクター モード・ラバンはいう。
「レア・シャンパーニュは、『時間』『忍耐』『継承』の3つの概念と深く結びついています。メゾン独自の哲学を理解するためには、過去のヴィンテージを知ることが、とても大切です。今回のテイスティングで、当メゾンを特徴づける進化、複雑性、そして時代を超えたエレガンスを発見してもらえたと思います」。

イベントでは、シェフ・ド・カーヴのエミリアン・ブティヤが、16ヴィンテージをめぐる旅をガイド。各ヴィンテージのユニークな個性、時間がもたらす変化などを解説しながら、レア・シャンパーニュを唯一無二の存在にする、一貫して保たれてきたアイデンティを伝えた。参加したジャーナリストからは、「稀有かつ幸運な機会だった」「忘れられない体験になった」といった、喜びの声が聞かれた。

メゾンの歴史においては、すべてのヴィンテージが重要だが、中でも象徴的なのはレア1976だろう。レア・シャンパーニュの歴史は、1785年5月6日に、フローレンス=ルイ・エドシックが王妃マリー・アントワネットに1本のキュヴェを献上したことに遡ることができる。その200年後の1985年、ファースト・ヴィンテージのレア1976が、ヴェルサイユ宮殿で発表された。優美な王妃にふさわしい、特別の年にのみ造られる、宝石のようなシャンパーニュであり続けること。レア1976は、メゾンの哲学を語る証人のような存在なのだ。


当日は試飲につづき、ランスのミシュラン2つ星「アルバンヌ」にて、ペアリングランチが行われた。シャンパーニュに造詣の深いシェフのフィリップ・ミルが、レア・シャンパーニュに合わせてメニューを構成。レア ロゼ2014のマグナムには、ランスのノートルダム大聖堂のステンドグラスにインスパイアされた、ラングスティーヌのカルパッチョをセレクト。代々、フランス国王の戴冠式が行われてきたランスのノートルダム大聖堂と、フランス王室とのつながりをもつレア・シャンパーニュの組み合わせは、フランスの歴史そのものを味わい感じる体験となった。


1976年から2015年まで。
40年近い歳月のなかで生まれた16のヴィンテージは、それぞれが異なる個性を持ちながらも、時を超えて受け継がれるレア・シャンパーニュの哲学を雄弁に物語っていた。シェフ・ド・カーヴが名付けた象徴的なキーワードとともに、その味わいの旅を振り返る。

Rare Millésime 1976 ― 唯一無二
長い熟成がもたらすトリュフや蜜蝋の複雑な香り。レア・シャンパーニュの原点。圧倒的な深みと存在感を湛えた、まさに唯一無二のヴィンテージ。

Rare Millésime 1979 ― 風格
ドライフルーツやヘーゼルナッツの香りが幾重にも広がる。円熟の域に達した味わいに、大いなる風格を感じる。

Rare Millésime 1985 ― 壮大
豊かな果実味と熟成香が見事に調和。スケールの大きな余韻がどこまでも続く壮大な一本。

Rare Millésime 1988 ― 陶酔
白い花やスパイス、繊細な熟成香が重なり合う。複雑で官能的な味わいが深い陶酔へと誘う。

Rare Millésime 1990 ― 調和
熟した果実、伸びやかな酸、なめらかなテクスチャー。すべての要素が美しく溶け合う見事な調和。

Rare Le Secret 1997 ― 神秘
レア唯一のゼロ・ドザージュ。静謐で奥深い香りと、時間とともに移ろう表情。グラスの中に尽きることのない神秘を秘める。

Rare Millésime 1998 ― 輝き
マグナムボトルでリリースされたレア 1998は、熟成を経てもなお失われない緊張感と透明感を持ち、鮮やかな酸が味わいに輝きを与える。

Rare Millésime 1999 ― 豪奢
マグナムボトルでリリースされたレア1999は、熟した果実やブリオッシュのニュアンスが豊かに広がる。包み込むような贅沢さを備えた豪奢なスタイル。

Rare Millésime 2002 ― 象徴的
凝縮感とエレガンスを高次元で両立する、レア・シャンパーニュの哲学を象徴する偉大なヴィンテージ。

Rare Millésime 2006 ― 太陽の恵み
トロピカルフルーツの完熟した果実を思わせる温かみのあるアロマ。陽光に恵まれた年ならではの豊潤な魅力が広がる。

Rare Millésime 2007 ― 繊細
白い花や柑橘のニュアンスが優雅に立ち上る。軽やかさと精緻さが際立つ繊細なヴィンテージ。

Rare Millésime 2008 ― 無限
張り詰めた酸とミネラルが描く圧倒的なストラクチャー。これからも発展を続ける「無限」の可能性を感じさせる。

Rare Millésime 2012 ― 瑞光 (日本未発売)
熟した果実の豊かさと張りのある酸が織りなす壮麗なハーモニー。恵みの光を意味する「瑞光」のごとく、力強さと気品がひときわ鮮やかに輝く。

Rare Millésime 2013 ― 燦然
柑橘や白い花のアロマが鮮やかに広がる。純粋で凛とした輝きが燦然と印象に残る。

Rare Rosé Millésime 2014 ― 異彩
赤い果実やスパイスの華やかな香り。繊細さと力強さが鮮やかに交錯する、異彩を放つ一本。

Rare Millésime 2015 ― 春醒 (日本未発売)
エキゾチックな果実の香りと、生き生きとしたミネラル感が調和する。春の訪れとともに眠りから目覚める自然のように、生命力と希望に満ちた輝きを放つ。

プロフィール写真

吉田 恵理子
フランス・パリ在住/ライター・エッセイスト

フランス・パリ在住のライター・エッセイスト。ワインやガストロノミー、フランス文化を中心に執筆活動を行う。美食・ガストロノミー高等研究所(HEG)修了。WSET Advanced Certificate、SSA認定酒ソムリエ。著書に『ランチタイムが楽しみなフランス人たち』(産業編集センター)、『ワインを飲めばすべてうまくいく 仕事から恋愛まで起こる10のいいこと』(インプレスICE新書)など。ワイン専門誌『Winart』をはじめ各種メディアで活躍中。