ワイナリー便り
-2026年7月-
2026年7月は、ブルゴーニュ ルイ・ジャドとシャトー・デ・ジャックの畑から。
猛暑と乾燥が続くブルゴーニュ 2026年ヴィンテージへの期待
フランス各地では5月以降、記録的な熱波が続いています。ボルドーでは41.9℃を記録し、ブルゴーニュでも40℃近い猛暑となりました。こうした異常気象の影響により、一部地域では公共の場での飲酒制限や学校の休校、屋外イベントの中止、鉄道運行への影響なども発生しています。そのような厳しい環境の中でも、ブルゴーニュのブドウは概ね順調に生育しており、生産者たちは2026年ヴィンテージに大きな期待を寄せています。
凝縮したブドウと品質に期待
乾燥した天候のおかげで、菌類が原因となる病害(ベト病やウドンコ病など)の発生は比較的少なく、ブドウは良好な状態で成長しています。そのため、スプレーなどの防除作業も例年より少なく済んでいます。
また、雨量が少ないことでブドウの粒は小さくなる見込みですが、その分、果実の凝縮感が高まり、品質の高いヴィンテージになることが期待されています。青々と葉を茂らせた畑では、ブドウがゆっくりと着実に成熟を進めています。
(写真:ボーヌ プルミエ・クリュ クロ・デ・ズルシュールのブドウ)
長引く熱波によるブドウへの影響
十分な日照と高い気温により、ブドウは順調に成熟を進めています。一方で、一部の畑では熱波による影響も見られ始めています。高温と乾燥が続き、一部の畑では水不足が深刻化しています。ブドウは暑さから身を守るため、生育のスピードを落とし始めています。さらに、強い日差しを受ける区画では、果実が日焼けによって傷むケースも見られています。
(写真:ムーラン・ア・ヴァン クロ・デュ・グラン・カルクランのブドウ)
かつては果実の成熟を促すために葉を取り除くことが一般的だった「キャノピー・マネジメント(樹幹管理:ブドウ樹の葉や枝を管理し日照量や風通しを調整する整する栽培技術)」も、近年では強い日差しから果実を守るため、あえて葉を残す方向へと変化しています。気候変動は畑の管理方法にも大きな影響を与えているのです。
(写真:左-シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ グラン・クリュ 右-シュヴァリエ・モンラッシェ グラン・クリュ レ・ドゥモワゼル)(写真:上-シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ グラン・クリュ 下-シュヴァリエ・モンラッシェ グラン・クリュ レ・ドゥモワゼル)
雨を待つ畑 水分との戦い
現在、ルイ・ジャドをはじめとするブルゴーニュの生産者たちが最も望んでいるのは適度な降雨です。ここまでの高温と乾燥により、ブドウは凝縮感のある仕上がりが期待される一方、水不足によるストレスも懸念されています。雨がもたらす恩恵は少なくありません。生育が緩やかになったブドウ樹に再び活力を与え、果実の成熟を促すだけでなく、酸の保持やワインのバランスにも良い影響をもたらします。現時点では収量への懸念はあるものの、凝縮感のあるブドウが育っています。品質面への期待は依然として高く、生産者たちは収穫へ向けて畑を見守っています。雨はブドウだけでなく、この暑さのなかで生活する人々にとっても大きな恵みとなることでしょう。
これからのニューノーマル
ルイ・ジャドのマネージング・ディレクター チボー・ガジェは次のように語ります。
「ワイン造りにおいて、一年として同じ年はありません。近年は未熟なブドウによるオフヴィンテージへの懸念は少なくなりましたが、その一方で霜害や長雨、雹嵐、極端な乾燥など、新たな課題に直面する機会が増えています。これからの気候は、私たちにとって新たな“ニューノーマル”になっていくでしょう。ブドウが環境に適応していくように、私たちも環境変化に適応しながら、ワイン造りを続けていきたいと思います。」
収穫まであとわずか。今年のブルゴーニュがどのような表情を見せてくれるのか、生産者たちも大きな期待を寄せています。2026年ヴィンテージが持つ個性を、ぜひ楽しみにお待ちください。