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Hiroko Takahashi


高橋 理子

はじまりは、王妃マリー・アントワネットに献上された1本のプレステージ・キュヴェ。
革命的なスタイルへのオマージュである「RARE CHAMPAGNE」は、過去にわずか12作品しかつくられていない、比類なきシャンパーニュだ。
ボトルのティアラは、厳しい自然条件と制約の中から生まれた勝利のブドウがモチーフ。
そんなレア(稀)な世界観と共鳴するストーリーを、着物の伝統を革新するアーティスト・高橋理子さんに語ってもらった。


(弊社から取材を依頼し、いただいたコメントを編集して掲載しております。)

profile

Hiroko Takahashi

アーティスト。正円と直線によるソリッドな表現で、有限から生まれる無限の可能性を探るとともに、オリジナルブランド「HIROCOLEDGE」を通じて、アートとファッションの融合を目指す。1977年生まれ。東京藝術大学にて染織を研究、博士号(美術)を取得。2005年、仏外務省AFAAの招聘によりパリ・Cite Internationale des Artsに滞在し活動。2006年、株式会社ヒロコレッジ設立(現・高橋理子株式会社)。2014年、スキーマ建築計画の長坂常の設計により、築50年の元鉄工所をリノベーションした新社屋竣工。2019年、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館のパーマネント・コレクションに選出。2021年、武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科教授に就任。


円と直線のみを構成要素に、緻密でありながらも力強いグラフィックを生み出し、幅広い表現活動を続けるアーティスト、高橋理子さん。彼女が手がける、モダンかつ硬派なデザインの着物や浴衣は、海外にもファンが多く、英・ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館に永久収蔵されているほか、2021年にはアディダスのグローバル・ラインともコラボレートし、大きな注目を集めた。

この日は、シャンパーニュの白をイメージして選んだという、オリジナルブランド「HIROCOLEDGE」の着物を着こなし、洗練された装いの高橋さん。伸びやかなストライプと躍動感のある円の連なりが白地に映え、昼下がりのテラスで乾杯するひとときにぴったりである。

「円は万物を表現できるし、見方によって何にでもなれるもの。それこそ今日は、立ちのぼるシャンパーニュの泡にも見えてくるかもしれないと思って」と、「レア2008」が注がれたグラスを掲げる。
お酒が好きで、普段は家でもワインや日本酒を嗜むが、シャンパーニュは、ここぞという特別なタイミングや大きな仕事の山を越えた時などに、とっておきの1本を開けたくなるという。

マリー・アントワネットへの献上酒を起源とし、数々のセレブレーションの場に選ばれてきたレア・シャンパーニュ。ボトルにあしらわれた黄金色のティアラは繊細なレースのようで、ブドウの蔓をモチーフとしており、自然を敬うとともに、工芸や醸造に従事する職人を称えるスピリットが刻まれている。「こういう透かしの切り抜き模様が、昔からとても好きなんです。染織を研究していた学生時代も、和紙に模様を彫った型紙が好きで、型染めという伝統技法で着物を染めていました。今も江戸小紋の型染め職人さんと一緒に仕事をしています。最近は植物を育てることも好きなので、農業やワイナリーにも興味がある。飲むのも好きだけれど、こうした“つくる”ことの背景につい惹かれてしまいますね。」

アディダスのグローバル・プロジェクト「HIROKO TAKAHASHI COLLECTION」では、法被や甚平をストリート・ファッションと融合したり、円と直線のミニマムなグラフィックをスポーティに表現したりするなど、89型ものアイテムをデザイン。日本ならではの美意識を、世界のアスレティック・フィールドへ大胆にちりばめてみせた。「工場ともこまめにやり取りをしながら、アイテムごとのグラフィックの位置にもこだわって作りました。とても良いコラボレーションができたと思います。世界に広く展開するプロダクトであっても、必ず細部には手仕事が介在するということを改めて実感できた。人の存在があってこそのものづくり。それを感じさせ、世の中に考えるきっかけをもたらすような活動をしていきたい。」

雨の多い冬、気温差の激しい春、冷たい雨に見舞われた夏を経て、収穫期には乾燥した好天に恵まれた年。天候の緩急をくぐり抜けた“勝利のブドウ”が、厳しい要件のもとで醸造・熟成され、無限のシャンパーニュとの呼び声高い「レア 2008」としてリリースされた。制約の中から生まれる、無限の味わい。高橋さんも、円と直線のみで描くという制約を自らの表現活動に課しているからこそ、レアが醸し出す孤高の佇まいに共感する。

「広く浅くではなく、自分の中でルールを決めて、そこを深く掘り下げていく方が私にはフィットする。制約という枠があるからこそ自分らしさを発見できたんだと思うんです。円と直線だけで表現すると決めた、その制約こそがオリジナリティとなる。このシャンパーニュも、厳しい基準を課されて味わいを追究していく世界で、ストイックだけれども不思議と息苦しさはない。そこに流れる真摯なものづくり精神に、なにか通じ合えるものを感じます。」

2021年には武蔵野美術大学の教授に就任。学生たちと接するうちに、自分も学生の頃に戻ったような気持ちになってきたという。
「創作意欲が湧き上がってきて、最近ペインティングに挑戦しているんです。失敗を恐れず、新しいことを積極的に試してみなさいと学生に檄を飛ばしながら、自分自身も常に身の引き締まる思いですね。」

MY FAVORITE PAIRING

MY FAVORITE PAIRING

ほうじ茶とマロンムース ショコラサブレ
洋ナシとマスカルポーネのソルベ

豊かで洗練されたレア・シャンパーニュは、お料理はもちろんのこと、アペリティフからデザートまで幅広く合わせることができます。レアの持つトースティーな側面が、ショコラやほうじ茶の香ばしさに寄り添い、きめ細かく繊細な泡が、マロンムースとサブレのサクサクとした食感に混ざり合います。

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