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Kentaro Tabu


椨 賢太郎

はじまりは、王妃マリー・アントワネットに献上された1本のプレステージ・キュヴェ。
革命的なスタイルへのオマージュである「RARE CHAMPAGNE」は、過去にわずか12作品しかつくられていない、比類なきシャンパーニュだ。
ボトルのティアラは、厳しい自然条件と制約の中から生まれた勝利のブドウがモチーフ。
そんなレア(稀)な世界観と共鳴するストーリーを、国際ソムリエ協会認定ソムリエの椨(たぶ)賢太郎さんに語ってもらった。


(弊社から取材を依頼し、いただいたコメントを編集して掲載しております。)

profile

Kentaro Tabu

愛知県出身。大学卒業後、ナイトマーケットからレストラン業界へ。ウエスティンナゴヤキャッスルを経て、都内グランメゾンにてソムリエ、シェフソムリエを歴任。2017年シャンパーニュ地方の老舗シャトー「ドメーヌ レ・クレイエール」のシェフ、フィリップ・ミル氏とのブランド立ち上げに参画し、現在はフィリップ・ミル東京のシェフソムリエ。ワインスクールやシャンパーニュ委員会のセミナー講師歴もあり資格賞歴多数。国際ソムリエ協会認定ソムリエ、シャンパーニュ騎士団シュヴァリエ、ヴィンテージポートアカデミー2022最優秀賞。

「シャンパーニュとは、どんな時でも開けた瞬間、その場が華やかに一新し、気持ちをぐっと上げてくれる魔法の飲み物」-日本を代表するシャンパーニュの聖地である「フィリップ・ミル東京」で、シェフソムリエを務める椨賢太郎さん。シャンパーニュと料理のマリアージュを愉しみに通うゲストはもちろん、世界の名だたる醸造家やメゾンからも厚い信頼を寄せられる人物だ。

ソムリエを志したのは20代後半。接客が好きで夜の世界に入り、ナイトクラブの経営を任されてがむしゃらに働いていたが、体を壊して闘病生活となり、それまでとは違う飲食の世界を模索したのがきっかけだった。 「近所に素敵なバーがあって、深夜から始まる仕事の前に、お酒や料理の勉強をしに通ってたんです。それまでも、店ではワインもシャンパーニュも出していましたが、ゆっくり味わう余裕もありませんでしたし、とにかくシャンパーニュは酸っぱいお酒という印象しかありませんでした。でも、その素敵なバーにはシニアソムリエがいて、お客さんもワイン愛好家ばかり。1杯のワインにゆっくりと時間をかけ、変化を味わう飲み方を教えてもらった。なるほど、こういう世界があるのか、と。知れば知るほど面白くて、ソムリエの資格を自分も取ってみようと思ったんです。」

ブドウ農家や醸造家がいかに手をかけて1本のワインを造り込むのか、そのプロセスや味わいを学ぶうちに、自分自身の仕事や生き方にも深みが増していくような気がした。
「若い頃は酸っぱいと思っていたのですが、ある日、まろやかだと感じられる銘柄に出会ったんです。コクと厚みがあり、柔らかくて優しい。シャンパーニュの美味しさってこういうことだったのか。ならば、ほかの銘柄はどうなんだろう、と。ひとたび探求を始めたら、開ける扉はどこまでもあったんですよね。」

30歳で見事ソムリエを取得し、研鑽を積んでシニアソムリエ、国際ソムリエ協会のディプロマにも合格した。
「ソムリエの面白さは、接客の喜び。それはナイトクラブ時代から変わらなくて、お客様がリフレッシュしてくれる姿がなによりうれしい。ソムリエも、原点は人と人とのつながりですから、お客様とのやりとりを通じて、心地よい間(ま)の感覚を提供できたらと思っています。」

ゲストにぴったりのワインを薦めて喜んでもらうには、ただ情報を仕入れるのではなく、造り手と顔を突き合わせて、ブランドやキュヴェの性格を知っていくことが大事だと、椨さんは語る。「レア・シャンパーニュ」を長年率いた伝説のシェフ・ド・カーヴ、レジス・カミュとの親交もあり、レジェンドが造り上げた革新的なキュヴェの持ち味をこう表現する。
「まず感じられるのは、しなやかで伸びのある酸。キレが良いけれども刺すような強さではなく、華やかでエレガントなバランスが特徴です。リラックスしているのに背筋が伸びるというか、凛とした気品がある。シャンパーニュでありながら、その飲み心地はまるで茶室でお茶をいただいている気持ちに近いかもしれません。」

特に、ヴィンテージに定められる3年の熟成期間を遥かに超えて、10年以上の熟成を経てリリースされた「レア 2008」は、果実味がしっかりと出て、味わうには今がまさに開花どきだと絶賛する。
「2008年のレア・シャンパーニュは"無限のヴィンテージ"と言われるだけあり、少し前に開けてみた時には、全体にまだ閉じていて、ミネラルの香りやテクスチャーが強調される状態でした。まだまだ硬い印象で一体いつ開くのだろうかと思ったんです。まさに無限の可能性を感じました。しかし、ようやく明るい表情に変わったといいますか、フレッシュに開いてきた感じがしますね。生き生きとした笑顔が見えるようで、初めの飲み頃を迎えていると思いますよ。」

仕事がオフの時も、家で飲むのはいつもシャンパーニュ。「好きだから」が理由だが、ソムリエとしての勉強のためでもある。
「凝り性で突き詰めるタイプなので、初めての造り手のものや違うヴィンテージをとにかく飲んでみるんです。また、どんなに遅く帰っても、毎日寝る前の1時間は必ず勉強に充てると決めています。本を読むのでもなんでもいい。ひとつでもソムリエとしての歩みを進められるように。」

ソムリエの資格を取ることとソムリエとして生きることは違う、と椨さんは言う。道を歩けば光や風、季節の移ろいをワインと結びつけて感じ取り、アスリートのようにコンディションを整え、味覚と嗅覚のベスト・パフォーマンスを心がける。ゲストと店と造り手が豊かになる"三方良し"を理想とし、サービスの質を高める努力を惜しまない。
「ブランドを正しくお客様に届けて喜んでいただくことが、店やソムリエのやりがいであり、ブランドの向こうの造り手にリスペクトを贈ることにもつながります。知識を常にブラッシュアップし、情報の奥にあるブランドの真髄や1本のワインに込められた物語をお伝えできたらうれしいですね。」

MY FAVORITE PAIRING

MY FAVORITE PAIRING

アミューズ

ミネラル主体の味わいから、明るい表情を出し始めたレア 2008。
果実味も豊かに広がり、バターナッツかぼちゃの滑らかなエスプーマも上手く包み込みます。あしらわれた小さなクルトンやベーコンの食感は、繊細な泡立ちのテクスチャーと相乗して食欲をそそり、アミューズのペアリングにピッタリ。エスプーマの中にはローストしたカボチャの種が。踊るような触感の楽しさと共に、ロースト香が余韻に広がり、キュヴェの持つトースト香と共に一体感を生み出します。

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